ネットワークスペシャリスト VLAN

VLANの基本

VLANとは?

  • VLAN(Virtual Local Area Network)は、物理的なネットワークを論理的に分割する技術です。これにより、異なる物理的場所にあるデバイスを同一のネットワークに属させたり、一つの物理的ネットワーク内で複数の仮想ネットワークを作成することができます。

VLANの重要な点

  1. セキュリティの向上: ネットワーク内のトラフィックを分割し、異なるグループ間のデータ流れを制限します。
  2. ネットワークパフォーマンスの向上: ブロードキャストトラフィックを特定のセグメントに限定し、ネットワークの混雑を減少させます。
  3. 柔軟なネットワーク設計: 物理的配置に依存せず、ネットワークを論理的に分割・組織することができます。
  4. コスト削減: 新しい物理的なネットワーク機器を追加せずに、既存のネットワーク構造内で複数の論理的なネットワークを作成できます。

VLANのパケット構成

TPIDとTCIが差し込まれる

項目 説明 サイズ(バイト)
宛先MACアドレス 受信デバイスのMACアドレス 6
ソースMACアドレス 送信デバイスのMACアドレス 6
タグプロトコル識別子 (TPID) VLANタグの存在を示す(0x8100) 2
タグコントロール情報 (TCI) 優先度情報、DEI/CFI、VLAN IDを含む 2
イーサタイプ/長さ ペイロードのタイプまたは長さ 2
ペイロード(データ) ユーザーデータ、IPパケットなど 46-1500
フレームチェックシーケンス (FCS) エラーチェック用のCRC値 4

TCI(Tag Control Information

Field Size (bits) Description
Priority Code Point (PCP) 3 フレームの優先度を示す。
Drop Eligible Indicator (DEI) 1 フレームが破棄される可能性を示す。
VLAN Identifier (VID) 12 VLANのIDを示す。

VLANの種類とOSIレイヤー

  • ポートベースVLAN(静的VLAN): レイヤー2で動作し、マネージドスイッチが必要。
  • MACアドレスベースVLAN: レイヤー2で動作し、マネージドスイッチが必要。
  • プロトコルベースVLAN: レイヤー2で動作し、レイヤー3の情報を使用、マネージドスイッチが必要。
  • IPサブネットベースVLAN(動的VLAN): レイヤー3で動作し、レイヤー3スイッチが必要。
  • タグベースVLAN(IEEE 802.1Q): レイヤー2で動作し、VLANタギングをサポートするマネージドスイッチが必要。

VLANとCoS(Class of Service)

  • CoSは、ネットワークトラフィックの優先順位を設定する仕組みで、VLAN環境で役立ちます。
  • ネットワーク機器は、パケットが持つ「優先度タグ」を見て、どのパケットを優先的に処理すべきかを判断します。
  • CoS値はVLANタグの一部として含まれており、Priority Code Point(PCP)という3ビットのフィールドで表されます。

VLAN間の通信

  • VLAN対応スイッチ間では、イーサネットフレームにVLANタグを挿入してトラフィックを区別します。
  • VLAN非対応スイッチへのトラフィック転送では、VLANタグを除去(アンタグ)して通常のイーサネットフレームとして送信する必要があります。
  • VLANタグ付きトラフィックの取り扱いは、受信側のスイッチの能力と設定に依存します。

VIDの範囲

VLAN Identifier (VID) の範囲は0から4095までですが、全ての数字がユーザーによる使用に利用できるわけではありません。 具体的には:

VID 0: このVIDは特別な用途であり、VLANタグが存在しないことを示すために使用されます。これは、タグなしフレームに対して予約されています。 VID 1: 通常、デフォルトVLANとして使用されます。ほとんどのスイッチや機器では、初期設定でこのVLANに割り当てられています。 VID 4095: このVIDも特別な用途に予約されており、通常はユーザーによる通常のVLAN割り当てには使用されません。 したがって、ユーザーが実際に使用できるVIDの範囲は 2から4094 までです。この範囲内で任意のVIDを設定し、ネットワーク内で異なるVLANを構成することができます。

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