VLANの基本
VLANとは?
- VLAN(Virtual Local Area Network)は、物理的なネットワークを論理的に分割する技術です。これにより、異なる物理的場所にあるデバイスを同一のネットワークに属させたり、一つの物理的ネットワーク内で複数の仮想ネットワークを作成することができます。
VLANの重要な点
- セキュリティの向上: ネットワーク内のトラフィックを分割し、異なるグループ間のデータ流れを制限します。
- ネットワークパフォーマンスの向上: ブロードキャストトラフィックを特定のセグメントに限定し、ネットワークの混雑を減少させます。
- 柔軟なネットワーク設計: 物理的配置に依存せず、ネットワークを論理的に分割・組織することができます。
- コスト削減: 新しい物理的なネットワーク機器を追加せずに、既存のネットワーク構造内で複数の論理的なネットワークを作成できます。
VLANのパケット構成
TPIDとTCIが差し込まれる
項目 | 説明 | サイズ(バイト) |
---|---|---|
宛先MACアドレス | 受信デバイスのMACアドレス | 6 |
ソースMACアドレス | 送信デバイスのMACアドレス | 6 |
タグプロトコル識別子 (TPID) | VLANタグの存在を示す(0x8100) | 2 |
タグコントロール情報 (TCI) | 優先度情報、DEI/CFI、VLAN IDを含む | 2 |
イーサタイプ/長さ | ペイロードのタイプまたは長さ | 2 |
ペイロード(データ) | ユーザーデータ、IPパケットなど | 46-1500 |
フレームチェックシーケンス (FCS) | エラーチェック用のCRC値 | 4 |
TCI(Tag Control Information
Field | Size (bits) | Description |
---|---|---|
Priority Code Point (PCP) | 3 | フレームの優先度を示す。 |
Drop Eligible Indicator (DEI) | 1 | フレームが破棄される可能性を示す。 |
VLAN Identifier (VID) | 12 | VLANのIDを示す。 |
VLANの種類とOSIレイヤー
- ポートベースVLAN(静的VLAN): レイヤー2で動作し、マネージドスイッチが必要。
- MACアドレスベースVLAN: レイヤー2で動作し、マネージドスイッチが必要。
- プロトコルベースVLAN: レイヤー2で動作し、レイヤー3の情報を使用、マネージドスイッチが必要。
- IPサブネットベースVLAN(動的VLAN): レイヤー3で動作し、レイヤー3スイッチが必要。
- タグベースVLAN(IEEE 802.1Q): レイヤー2で動作し、VLANタギングをサポートするマネージドスイッチが必要。
VLANとCoS(Class of Service)
- CoSは、ネットワークトラフィックの優先順位を設定する仕組みで、VLAN環境で役立ちます。
- ネットワーク機器は、パケットが持つ「優先度タグ」を見て、どのパケットを優先的に処理すべきかを判断します。
- CoS値はVLANタグの一部として含まれており、Priority Code Point(PCP)という3ビットのフィールドで表されます。
VLAN間の通信
- VLAN対応スイッチ間では、イーサネットフレームにVLANタグを挿入してトラフィックを区別します。
- VLAN非対応スイッチへのトラフィック転送では、VLANタグを除去(アンタグ)して通常のイーサネットフレームとして送信する必要があります。
- VLANタグ付きトラフィックの取り扱いは、受信側のスイッチの能力と設定に依存します。
VIDの範囲
VLAN Identifier (VID) の範囲は0から4095までですが、全ての数字がユーザーによる使用に利用できるわけではありません。 具体的には:
VID 0: このVIDは特別な用途であり、VLANタグが存在しないことを示すために使用されます。これは、タグなしフレームに対して予約されています。 VID 1: 通常、デフォルトVLANとして使用されます。ほとんどのスイッチや機器では、初期設定でこのVLANに割り当てられています。 VID 4095: このVIDも特別な用途に予約されており、通常はユーザーによる通常のVLAN割り当てには使用されません。 したがって、ユーザーが実際に使用できるVIDの範囲は 2から4094 までです。この範囲内で任意のVIDを設定し、ネットワーク内で異なるVLANを構成することができます。